急速に拡大している中国の中間所得層は多国籍企業にとって無視できない重要な存在になっている。中国のコンサルティング会社、ドラゴンミクス(GK Dragonomics)によると、2012年度時点で、およそ人口の25%(約3億人)が十分な購買力を持っている。
また中国フォーブス(China Forbs)も、一人当たり約1億3,000元(U$213,900)という中間所得層の金融資産をうまく利用するために、小売業者は中国の中間所得層が何を欲しがっているのか常時モニターしていると言っている。
まだ中国で成功していないのであれば、マーケティング担当者は中国の中間所得者層にみられる独特な特徴をよく理解しなくてはならない。
まず彼らは目新しいものをとても好み、新商品を常に追い求めている。二番目に、中国の中間層は新しい技術のアーリーアダプター(流行に敏感で、情報収集を自ら行い、判断する人で、オピニオンリーダーともいわれる)で、ソーシャルメディアやデジタルメディアを使っている。三つ目に、中国の中間層は高級ブランドを好む一方で、ブランドロイヤルティーが低く、特定のブランドにこだわることはない。
中国のデジタル・ミドルクラス
中国の中間所得層はデジタルメディアやソーシャルメディアを好んで利用する。世界には約12億人のメディアユーザーがいるが、その内4億-4億5,000万人は中国のメディアユーザーだ。
中国のインターネットユーザーの約84%は最低でも月一回はビデオをアップロードし、写真をシェアし、ブログを投稿する、世界で最もソーシャルメディアに参加している国民だ。
中国のソーシャルメディアユーザーの76%はただ単に、ソーシャルメディアに受動的に参加するのではなく、自らメディアコンテンツを作る、能動的な利用者だ。
一方、米国のソーシャルメディアユーザーでコンテンツを作ったり、投稿するのはわずか24%しかいない。また55-64才の平均的な中国人インターネットユーザーは25-30才の平均的な米国人インターネットユーザーより活発にソーシャルメディアを利用している。
このような中間所得層のネチズンは、自分たちの好むブランドの情報を共有することに熱心だ。加えて、モバイル端末を含めたEコマースは中国の中間所得層にリーチするための最も大きな潜在力を秘める販売チャネルだ。
インターネット調査のフォレスターコンサルティング社は、2年後の2016年にはBtoBとBtoCのオンライン販売額が3,150億ドル達するだろうと予測している。
中国でデジタルプラットフォーム(特にソーシャルメディア)が活発に利用されていることは、マーケティング担当者にとっては好都合だ。逆に言うと、ソーシャルメディアは一歩間違えるとブランド評価に壊滅的なダメージを与える不都合な存在にもなりうる。
そのため、マーケット担当者は、消費者と双方向の良好な関係を築き、維持しなくてはならない。
中国の中間所得層に商品やサービスを売り込むには良い成功事例がある。一般消費財と高級品市場に分けて、どのようにすればうまく中国の中間層を取り込めるか見ていこう。
続く・・・・。
記事執筆:株式会社ユーディーアール 小椋貴央
コメントをお書きください