消費財ケース1: プロクター＆ギャンブル（世界最大の消費財メーカー）

プロクター＆ギャンブル（P&G）は1988年に中国大陸に進出し、現在では中国市場最大の消費財メーカーになっている。人気商品のRejoiceシャンプーの販促のために、P&Gはバレンタインデーに消費者の気持ちに強く働きかけるキャンペーンを展開した。

同社は2012年のバレンタインデー直前に、消費者が求愛のメッセージを投稿できるウェブサイトとリンクする80の電子ビルボード（看板）を設けた。この電子看板は中国全土に設置されており、オンラインビデオやソーシャルネットワークサービスと連携し、セレブのメッセージ、バナー広告、テレビコマーシャル、商品プロモーションのコピー等、多くの消費者を引き付ける様々な仕掛け連動している。

プロモーション開始後、６週間で、11万件の愛のメッセージを集め、46万件のコメントがSNS（Weibo）に投稿された。P&Gのサイトは400万人のビジターを集めた。そのうちの280万人がリピートビジターで、2,100万ページビューをかせいだ。結果として、2012年1月と2月において、Rejoiceシャンプーのオンライン販売は対前年同月比で354%増という劇的な好業績を上げた。

P&Gはこのキャンペーンで消費者を刺激し、情報をシェアし、消費者にコンテンツを作らせ、ブランドと消費者との結びつきを作りあげることに成功した。

成功している企業は、音楽、ビデオ等の豊富なコンテンツ、バレンタインデーにおける特別販売価格の提供というようなインセンティブ付の電子グリーンカードなど様々な趣向を凝らして消費者を引き付けている。

P&GはEコマースのプラットフォームを効果的に使うことによって、バレンタインデーとシャンプーという異質なものを無理やり結び付けることに成功し、驚くような売上を達成した。

ケース2: Tibet 5100（中国の高級ミネラルウォーターメーカー）

中国の高級ボトル詰めミネラルウォーターの需要はマス・マーケット用のミネラル・ウォーターとは一線を画す。Tibet 5100（Tibet 5100 Water Resources Holdings Ltd.)は中国の大手プレミアウォーターメーカーで、同社の商品は航空会社、鉄道会社、ホテル、ゴルフクラブのような販売チャネルで売られている。

同社は販売チャネルを拡大するために、オンライン販売にプリペイドカードの導入を始めた。この新販売チャネルにより、Tibet 5100は消費者行動の情報をデータベースに蓄積することができた。

Tibet 5100はFleishman-Hillard and iSoftstoneという中国のモバイルアプリプロバイダーの力を借りて、ウェブサイトを回遊する消費者の行動を把握し、膨大な消費者情報をデータベース化する顧客管理システムを組み上げた。

消費者のオンライン行動を追跡することで、Tibet 5100は消費者がどのような商品を好み、どのようなサービスを望むのか貴重な情報を得ることができた。

Tibet 5100の最終目的は消費者とブランド間の相互コミュニケーションを構築することと、消費者から得たデータを使い、顧客ロイヤリティーを確立し、固定客を増やすことにあるが、同社の取り組みはリピター獲得に成果をあげた。

Tibet 5100はシステム構築後の2013年7月中旬からキャンペーンを開始し、売上を190%増やした。同社は豊富なマルチメディアコンテンツをもつモバイルアプリを制作し、消費者を引き付けた。

続く........。