ケーススタディ:高級ブランド品
所得が上がって、中国のミドル及びアッパーミドルクラスの所得層は、いままで以上に高級品を買うようになった。
今日、高級ブランドは中国をグローバル市場の最重要拠点の一つとして認識している。コンサルティング会社のマッキンゼーは、2015年までに世界の高級ブランドの20%が中国の消費者によって購入されるようになるだろうと予測している。
中国の高級品購入者は世界のどの地域と比較しても若い人が多く、中国の高級品購入者の約54%は35才以下である。また米国の億万長者の平均年齢が57才なのに比べ、米国の億万長者の平均年齢は37才だ。
中国において、高級品購買顧客層が若いということは、より長い期間にわたり顧客となる可能性が高く、高級ブランドのマーケティング担当者にとっては好ましいことであるが、同時に、購入者の年齢層の差はマーケティングに多くの課題も提起している。
中国政府は国民間の所得格差が広がることにつて懸念を示しており、高級品市場に厳しい規制をかけたり、広告の出稿をコントロールしたりする。2011年の初頭に、北京政府は企業に対し、全ての屋外広告からラグジャリー、ロイヤル、ハイクラスのような言葉を削除することを命じた。さらに、2013年2月には、テレビやラジオから全ての高級品の広告を締め出してしまった。
中国の消費者は高級ブランドは大好きだが、ブランドロイヤリティーは低い。他の国の消費者はブランドの伝統や格式をブランドの価値として認めるのだが、中国の消費者はそうではない。
そのため、多くの高級ブランドのマーケティング担当者は中国の消費者の気を引くために工夫を凝らしている。例えば、ルイビトンは地方投資の高級ブランド購入者がVIPとして特別扱いされるのを好むことを知っているので、20万元(U$32,000)以上使った顧客のために店を半日閉めて、特別の内覧会を行っている。
他でも、高級品を扱っている企業は消費者のために贅沢なひと時を体験できる場所を提供している。英国の酒造メーカー、ディアジオ社(Diageo)はスコットランドウイスキーの素晴らしさを理解してもらうためにジョニー・ウォーカーハウスを建築し、高級ウイスキーを体験できる豪華なバーを開放している。
上海では、ドイツの高級家電メーカー、ミーレ社(Miele)が販売店とショールームを兼ねたMiele Houseを設置し、消費者に高級な生活家電に囲まれた豊かなライフスタイルを提案している。
続く........。
記事執筆:株式会社ユーディーアール 小椋貴央
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