ラテンアメリカ市場に新規参入しようと考えている企業にとって、どの分野が拡大傾向にあるのか、大まかなトレンドを知ることは重要だ。そこでメキシコからアルゼンチンまでの市場において、市場全体の規模や主要産業別に、どの国で年間何パーセントくらい市場が成長しているか、調査会社のレポートやプレスリリース等の公開資料を基に俯瞰してみた。

自動車市場

ニールセンが2014年1月に発表した報告書によると、南米の消費者は世界で最も消費意欲が強い地域で、人口の75%が年内に新車又は中古車を購入する計画があるそうだ。この数値は世界平均の10%に比べて極めて高い数値といえる。

昨年の実績ではアルゼンチンの新車登録台数は対前年比で13.5%増だった。他の国では、チリとペルーが各々、対前年比12%増を記録した。次いでメキシコが対前年比7.7%増だった。また小国ではあるが、パナマの自動車市場は対前年比16%増と最も高い伸びを見せた。

化粧品市場

ラテンアメリカ全体の統計数値はないが、コロンビアの化粧品市場は2011年-2013年の2年間で31%拡大した。ウルグアイの市場は2013年度で約10%増大した。

またブラジルの化粧品流通協会によると、ブラジルの化粧品市場は2013年が対前年比11%増で、2014年は20%成長が見込まれている。コロンビア市場は2011-2013年の2年間で31%拡大した。メキシコの化粧品市場は2014年に10-15%成長が見込まれ、エクアドルの市場も年率10%成長が予想されている。

ダイヤモンド市場

パナマのダイヤモンド取引所である、Bolsa de Diamantes社によると、ラテンアメリカのダイヤモンド市場は2013年に80億ドルの売上を計上したが、2014年には100億ドル（25%増）になると予想されている。

エネルギードリンク市場

飲料・食品コンサルタントのZenith International（以下ゼニス・インターナショナル社）によると、ラテンアメリカの栄養ドリンク市場は2007年から2012年の5年間で約25%成長した。

栄養ドリンクの最大市場はブラジルで、南米全体のマーケットシェアの56%を占めている。次いでアルゼンチン（18%）とメキシコ（15%）が大きな市場になっている。

またゼニス・インターナショナル社の報告書によると、栄養ドリンク市場は今後も堅調な成長が予想され2014年から2018年まで年率4%以上の成長が見込まれている。

ホテル市場

不動産コンサルタントのジョーンズ・ラング・ラサール社によると、ラテンアメリカのホテル客室数は今後10年間で約65%も増大する。2014年3月時点で、ブラジルでは約13,000室相当のホテルが建設中で、メキシコでは建設中及び建設計画中のホテル件数が162件ある。

Hotel News Nowによると、ラテンアメリカの多くの国々で、ホテルの建設ラッシュが起きており、コロンビア（2,805室）、パナマ（1,919室）、アルゼンチン（1,719室）、チリ（985室）、コスタリカ（899室）が現在建設中だ。

ラテンアメリカの成長産業市場　-（2)に続く

ブログ執筆：株式会社ユーディーアール　小椋貴央