飲料市場の調査を専門とするCanadean(以下カナディーン社)によると、アフリカのビール市場が5年以内にアジアを追い越すと予想されている。これはアフリカ諸国の賃金上昇と人口増がアフリカのビール消費量を押し上げるからだ。
西側先進諸国は経済成長率も年々低下し、少子高齢化も加速することで、徐々にビール消費量は減っている。近年、消費を牽引してきたBRIC(ブラジル、ロシア、インド、中国)やアジア諸国も成長が減速しているので、主要ビール会社はアフリカでのビジネス・チャンスに目を向け始めている。
カナディーン社の最新調査によると、アフリカのビール市場はCAGR(年福利成長率)で5%成長すると予想されており、その成長率はアジア(4%)、ラテンアメリカ(2%)、BRIC諸国(3%)よりも高い。
唯一、MENA(中東及び北アフリカ諸国)の成長率のみが、アフリカを上回っているが、もともとの消費額自体が少ないので市場としての重要度は低い。
カナディーン社のビール部門担当役員のケビン・ベーカー氏によると、アフリカにおけるビールは、すでに高級嗜好品から日用品へと変化している。
またアフリカ開発銀行の調査によると、アフリカは他のどの地域よりも経済成長が高いのにもかかわらず、インフレ率は1990年以降大幅に低下している。さらにアフリカの人口が急増し、労働人口も中国やインドを凌駕すると予想されている。アフリカは次の5年間で法的に飲酒できる人口が大幅に増加すると見込まれており、大手ビール企業にとっては大きな商機になる。
現在のアフリカビール市場はSABミラー、ディアジオ、キャッスル、ハイネケンの4社が市場シェアの90%を支配しているが、市場が拡大基調にあるため、これから新規に市場参入するビール会社にも十分なチャンスがある。
とはいえ、アフリカ市場の開拓にはいくつかの高いハードルもある。アフリカのいくつかの国々ではアルコールが法律で規制されているし、多くの国では法で規制されていない地ビールがアルコール市場の大きなシェアを持っている。地ビールはソルガム、バナナ、キャッサバ等で作られた安価な飲み物として市場に出回っており、アルコール市場の90%を占めている。
そのため、ビール会社は対抗措置として低コストで製造できるビールを開発し、アフリカ諸国民の所得にあったビールの開発を必要とする。すでに、大手のビール会社はソルガムやキャッサバの根を原料としたビールを製造している。
SABミラーはソルガムを原料とする、Eagleというブランド名のビールを醸造しており、ガーナでは同じブランド名のビールをキャッサバの根を原料に製造している。またディアジオも子会社のKeneya Breweriesで、ソルガムを原料にして、Senatorというビールを製造している。また同社はガーナではRuut Extraというビールをキャッサバの根で醸造している。
アフリカは次の5年間で大幅にビール消費を増やし、全世界のビール消費量の15%を占めると予測されている。
ブログ執筆:株式会社ユーディーアール 小椋貴央
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