中国産のペットフードによる犬の健康被害が米国で広がっており、2014年5月時点で、1,000匹の犬の死亡原因が中国産ペットフードによるものと考えられている。
米国食品医薬品局(FDA)によると、毒性のあるペットフードによる健康被害について4,800件もの報告があがってきており、原因は中国産の鶏肉、家鴨肉やジャガイモが原因ではないかと見られている。
中国産ペットフードに関連する大量のリコールを契機に、FDAは2007年から毒性ジャーキーの調査を開始した。
消費者からの強いクレームにより、Petco社は今年の5月に中国産ペットフードの販売を停止した。さらにライバル会社のPetSmart社も販売を中止した。Animal Parents Against Pet Treats and Food Made in China(中国製のペット用おやつや食品に反対する飼い主)と呼ばれるフエィスブックのグループは中国産ペット食品の輸入反対キャンペーンを米国で行い、17,000のLikes(いいね)を集めた。
ところで、問題のペットフードを輸出した中国のペットフード市場はどうなっているのだろうか?
2012年には、中国は日本を抜いて世界で3番目のペットケア市場になり、3,000万のペットフード利用者がいる。
ユーロモニター社の統計によると、中国の3,300万世帯が犬又は猫を飼っており、多くの人々は自分のペットの健康のためにお金を使うことをおしまないそうだ。
中国のペットオーナーは、2012年度で、ペットケア関係に78億4,000万元を使っており、その市場は2017年には129億元(64%増)になると予測されている。ペット商品はチェーン店やEコマースで販売されており、北京だけでも、400店以上のペットケア販売店が存在する。
中国のペット市場は海外企業がマーケットシェアを握っており、フランスのロイヤルカナン社の中国子会社(Royal Canin Au Yu Shanghai Pet Food Co., Ltd.)が2012年度で4億5,100万元で第1位、米国のMars Inc.が3億3,300万元を売り上げている。
ドッグフードは毎年9%成長を続け、2018年には30億元になると予想されている。キャットフードも年間8%成長で伸び、2018年には13億元になるようだ。さらにペットフードの売上は、全ペットケア市場の約37%になると見られている。
皮肉なことに、中国産ペットフードによる健康被害の問題が追い風になり、海外ブランドのペットフードが売り上げを伸ばしている。結局のところ中国は健康被害をもたらすペットフードを輸出しているが、中国のペット愛好家は外国製の健康に良い食品を輸入して与えるという構造になっている。
フランス、日本、ドイツ、米国の投資家達は中国のペットケア産業における投資機会を求め、ペットフードから動物病院の経営まで投資機会を探している。今年の5月にはペット商品のEコマース企業、Boqii.com(波奇) は米国匿名投資会社と Goldman Sachs を含む既存株主から、から2,500万ドルを調達した。
Boqii社の登録ユーザーはすでに300万人を超えており、ペットコミュニティやペット向け商品のオンラインストアを運営している。このほか、上海、広州、南京などのペットサロン、動物病院、トレーナー、写真スタジオなどに、O2Oサービスを提供するプラットフォームも所有している。
今年の8月21-24日にかけて、第17回のペット・フェア・アジア(Pet Fair Asia)という大きなペットケア産業の展示会が上海のワールドエクスポ&コンベンションセンターで開催されるが、ペットケア企業だけでなく、多くの海外投資家が投資機会を求めて訪中する思われる。
ブログ執筆:株式会社ユーディーアール 小椋貴央
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