グーグルの子会社で風力発電ベンチャーのMakani Power(以下マカニ・パワー)がカリフォルニア州アラメダにある拠点を拡大し、敷地面積127,000平方フィート(役11,811㎡)の元海軍の航空機格納庫跡で実証実験を加速している。
マカニ・パワーの風力発電装置は地上に設置する従来型の風力発電施設とは異なり、地上300メートルにロープつないだ風力タービン付飛行艇(AWT:Airborne Wind Turbine)を飛ばして電力を発電する仕組みだ。飛行艇は上空で受ける風を電気に変え、ケーブルを通して地上に送電する。
通常の風力発電システムは技術上の限界に近づいていおり、これ以上、発電力を増大しようとすると、より高く、重量のある巨大な設備を設置しなくてはならない。
陸上にある風力発電施設は総重量100トンからなる、鉄、ファイバーグラス、コンクリート等の資材を使っても、1基当たり米国家庭500世帯分の電力しか賄えない。
また設置場所にも制約があり、平均で1時間20-28kmの風速がないと十分な発電量が確保できず、この基準を満たすのは世界全体の15%の土地しかない。また風力発電は騒音問題もあり、大型施設は住宅地の近くでは設置できない。
一方、マカニ・パワーの空中風力発電は通常の風力発電の半分のコストで建設し、2倍の発電量を確保できるそうだ。また建設に使用する資材もいままでの10%で済むという、地球にやさしいエコシステムだ。このシステムを使えば、いままでは実現不可能だった深い海の上空でも設置可能(洋上風力発電)になる。
グーグルは2013年5月にマカニ・パワーを買収(買収金額非公表)し、小型のAWT付飛行艇を飛ばしてきたが、今後は大型の飛行艇を建設し、実証実験を加速させる計画だ。
マカニ・パワーは2017年頃には空中風力発電による再生可能エネルギー施設を商業ベースに載せたいと語っている。
ブログ執筆:株式会社ユーディーアール 小椋貴央
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