1960年代に、米国のABC放送で放映されていたアニメ、「宇宙家族ジェットソン」の日常生活が現実化する。ジェットソンではボタン一つでその日、ディナーを機械が全自動で作ってくれていたが、50年後の今、人の手による調理が、3Dプリンターによって不要になるかもしれない。
今年になって、料理ができるthe Foodini(以下フーディーニ)とthe ChefJet(以下シェフジェット)という、調理ができる3Dプリンターの実用化が進んでいる。
フーディーニは新鮮な食材を使って食べられるピザやクッキー等を印刷するプリンターで、見た目は電子レンジのようだ。ピザを作るには、食材であるパン生地、チーズ、トマトピューレを専用カプセルに詰め、ボタンを押すとピザが整形される。また、フーディーニにはタッチスクリーンがついており、インターネットに接続してレシピをダウンロードすることもできる。
シェフジェットは水、砂糖、フレーバーと着色剤を素材とし、手作業ではどんなに複雑な形をしたキャンディや砂糖菓子でも創り出すことができる3Dプリンターだ。砂糖で作る高さ1mのウェディングケーキやドクロのコーヒー砂糖も簡単に印刷できる。
また英国のインペリア・ルカレッジ・ロンドンでは機械工学部の学生4人(Hillel Baderman, Jacob Watfa, Francis Nwobu, and James Clarke) が、既存のRepRap 3Dプリンター技術*を改良し、玩具メーカーのHasuburoの簡易オーブン(Easy-Bake Oven)と組み合わせた調理機器を創った。
彼らのプロジェクト名はF3Dといい、年間の製作課題として、限られた予算の中で食品を印刷し、実際に食べられる調理を提供するマシーンを完成した。
彼らはわずか1,145ポンド(約1,900ドル)の研究費で、3つの異なった食材を使用した料理を作ることに成功した。機械はまだプロトタイプにすぎないが、20分でピザを印刷し焼き上げることができるそうだ。
いまのところ3Dプリンターで作る料理はごく簡単なものに限られ、簡単なピザやクッキーなどを創る子供用の玩具がアプリケーションとして考えられる。
しかし、いずれはパナソニックや日立のような家電メーカーが、3Dプリンター技術と電子レンジを組み合わせた、家庭用調理器をだすかもしれない。さらに食材用のカプセルはネスレや味の素のような食品メーカーがプリンター用原料キットを宅配するかもしれないなど、大手企業はこの分野に進出し、より実用的な商品を売り出すのは時間の問題であり、市場は大きな可能性を秘めている。
注:RepRap(Replicating Rapid prototyperの略)は、オープンソースハードウェアで作られた3Dプリンターを意味する。RepRap.orgプロジェクトで、開発された3DプリンターのことをRepRapと呼ぶ。
ブログ投稿:株式会社ユーディーアール 小椋貴央
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