現在の中国は医療機器市場として前途有望なマーケットだ。医療用機器の売上は2013年で2,000億元(約3兆7,700億円)に達し、米国に次ぐ、世界で2番目に大きい市場だ。
中国経済の他の分野に比較しても、医療機器市場は中国で最も急成長している分野の一つだ。
近年、中国は人口規制政策を若干緩和したものの1979年から続けてきた、一人っ子政策によって人口構成が大幅に変化した。2010年の65歳以上の人口に占める割合は8.2%(1億1,000万人)だが、2030年には16.5%、2040年には23.3%、2050年には25.6%(3億3,000万人)になると予想されている。
そのため中国は急速に高齢化が進み、そう遠からず日本や欧州諸国と変わらない人口構成比になり、必要となる医療費や介護費用は急激に拡大すると予測できる。
中国政府は2009年に公的医療保険制度の整備、薬価の見直し、農村の医療機関の整備、衛生サービスの均質化、公立病院の改革など、医療分野の改革に重点をおくように経済の舵をきった。特に中国の沿岸部に比較して医療設備やサービスが遅れている内陸部への投資を増やしたものの、いまだ地域格差は埋まっていない。
国際的な基準でみると医薬品と医療機器の市場は同じ規模のはずなのだが、中国の医療機器市場は医薬品のわずか14%にすぎない。
専門家によると、このような偏った状態は、中国市場が医療機器よりも医薬品による治療を好む傾向(外科的治療よりも内科的治療)にあるためで、同国では漢方などによる予防医療に重きを置いているからだ。
中国市場には十分な医療行為が受けれない地域(特に農村部)が多く残されていおり、政府の支援や医療施設の拡大により、近い将来、いままでよりはるかに大きな医療機器への需要が生まれると思われる。
中国の医療機器市場は海外からの輸入に強く依存しており、ハイテクで高価な医療機器は米国、ドイツ、日本などから輸入している。中国には数千社という医療機器メーカーが存在するが、その多くは小企業で、個々の売上規模は小さく、メーカーの90%は注射器や体温計などのローテク商品メーカーだ。
反対にハイテク機器の多くは輸入製品で、CTスキャナーの80%、超音波検査器の90%、MRIの90%は海外製品だ。近年、中-高技術レベルの医療機器製品の輸入は減少しているが、これは外国企業が中国に製造拠点を移しているからだ。
情報源:China Breifing、環太平洋ビジネス情報、中国国家統計局等
ブログ執筆:株式会社ユーディーアール 小椋貴央
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