近年、アジアの次の有望市場として注目されてきたアフリカのホテル市場についてその供給及び需要動向をまとめてみた。
米国の不動産会社のJLLの調査によると、アフリカ大陸全体のホテル総数は4,650件で、581,000室あり、内57%が北アフリカで、43%がサハラ砂漠以南のアフリカ諸国にある。この件数は世界のホテル供給件数の5%以下に相当する。過去10年間、アフリカのホテル供給件数は年率4.1%で拡大しており、この傾向は北アフリカでもサハラ砂漠以南でもほぼ変わらない。
しかし、世界的な金融危機の影響で、過去5年間に限れば年率2.6%成長だった。この期間内では、中央アフリカ、東アフリカ、西アフリカの成長が高く、北アフリカや南アフリカにおけるホテル供給は成長ぺースが落ち込んだ。
北アフリカは政治的な不安定さや、テロなどによる社会の不安定さによりホテル需要が減退しており、2015年から2017年の期間の年平均成長率は1.5%、客室数の増加は5,000室に留まると見られている。またホテル市場への年間投資金額は8億5,500万ドル位になる。
一方、サブサハラ以南のホテル市場は堅調で、2015年が3.0%成長、2016年が3.5%、2017年が4.0%成長が見込まれる。中国経済の低迷などによる資源価格の下落で、ホテル投資資金は減少しており、資源輸出の回復には今少し時間がかかりそうだ。むこう3年間の平均で年9,000室増加し、2015年に13億ドル、2016年15億ドル、2017年18億ドルの投資がなされると予想される。
北と南を合計した、アフリカ全体では2016年に21億ドル、2017年に24億ドル、2018年に27億ドルが投資されるだろう。この投資金額は新規のホテル開発に対しての投資額のみで、既存ホテルの改装及び修繕費用などの再投資額は含まれない。
アフリカのホテル市場では、世界的に著名なホテルブランドの進出が増大しており、総客室数の22%は国際的なホテルブランドが占めている。消費者のブランド志向は高まっており、世界的なホテルチェーンの進出は今後も増加するだろう。ただ、だからといってアフリカのローカルホテルが振るわないというわけではなく、消費者需要や不動産市場をよく理解している地元のホテルブランドもホテル産業の重要な役割を担い続けるものと考えられる。
情報源:Spotlight on Africa Opportunity on the Horizon
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