世界的な気候変動対策として温室効果ガス(GHG)の削減プログラムが多くの人々の関心を集めており、世界各国の大都市でも独自の電力コスト削減や気候変動対策が広がりつつある。
以下の図にもいくつかの事例をあげたが、北米だけでもボストン、ロサンゼルス、ポートランド、サンフランシスコ、ミネアポリス、バンクーバー及びトロント等で温室効果ガスやエネルギー消費を削減し継続可能な社会の実現化に向けた取り組みが始まっている。
一方、国家レベルでは2015年にフランスのパリで、COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)が開催され、現地時間の12月12日、2020年以降の温暖化対策の国際枠組み『パリ協定』が正式に採択された。
ただ同協定は多くの国が参加したものの、あくまで目標をかかげただけで、強制力がなく実効性に関しては疑問視されている。
特に米国に関しては国内で政治問題化しており、同国の温室ガス削減目標数値(2025年に2005年比で26-28%の削減)に関しては達成義務がなく、骨抜きになる可能性が高い。
米国の主要都市は、国の消極的な姿勢とのギャップを埋めるためにいくつかの州や地方自治体で連携して、気候変動対策のため、より大胆な政策を取っている。
またカナダではオンタリオ州が2016年6月に、新たに包括的な気候変動対策計画(Climate Change Action Plan)を発表した。このアクションプランでは地方政府のキャップ・アンド・トレード(温室効果ガスの排出取引制度)プログラムから資金を供出し、幅広いグリーンテクノロジーに対し、上限83億ドルの支援をすることになっている。
この気候変動アクションプランはよりエネルギー効率の高い暖房システムや電力、ハイブリッドカー(上限14,000ドルの補助金)への転換を目的とし、ディーゼルパワートラックや天然ガスの使用を奨励する等、工業及び農業分野での低炭素技術導入を支援する内容が盛り込まれている。
カリフォルニア州はクリーンエネルギー導入のリーダー的役割をになっていることで知られているが、同州はケベック、マニトバ、オンタリオのカナダ3州とキャップ・アンド・トレードで連携している。
北米全体では6,180万人(カリフォルニア州3,880万人、オンタリオ州1,360万人、ケベック820万人、マニトバ州120万人)の人々がキャップ・アンド・トレードが適用されるエリアに住んでいる。
この数値は北米人口の約17%強の住民がキャップ・アンド・トレードに参加していることを意味し、今後さらに多くの州や地方自治体が同様なプログラムに参加し、国が果しえない温室ガス削減の役割を荷うものと期待されている。
情報源:Navigant社*
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