アマゾンは、2012年に倉庫用ロボットを開発したKiva Systemを7億7,500万ドルで買収し、2014年から運用を開始した。この取引後、在庫管理の効率化が進むと期待されてきたが、今回、ドイツ銀行の調査によりロボット導入の成果が公表された。
ロボットが使われている配送センターでは、人がポータブル端末を使って、出荷する商品がどの棚のどの位置にあるのか確認し、巨大な建物内の最適経路をたどって商品を取りに行く(ピッキング)ことはなくなった。
ドイツ銀行が6月14日に公開した報告書によると、ピッキングから出荷まで、人力で平均60-75分かかっていたのが、ロボットは同じ業務を15分で完了することができるそうだ。
またこれまでは人が棚の間を移動するための通路が必要だったが、ロボットは棚の下に潜り込んで棚を動かすため、通路の幅は必要最低限でよくなった。そのため、配送センターにはこれまで以上に多くの棚が設置可能になり、在庫商品を増やし取扱量を拡大できるようになった。
2015年9月末時点で、アマゾンは13の配送センターに30,000台のKivaロボットを導入し、各センターはロボットを使用していない拠点よりスクウェア・フィート当たり1.5倍の商品を置けるようになった。またオペレーション・コストは20%削減され、1拠点当たり2,200万ドルもの経費節減に成功した。
もしKivaロボットが残り100の配送センターに配備されれば、アマゾンは25億ドルのコストを削減できる。ただし各センターにロボットを配備するには1拠点当たり1,500万-2,000万ドルの投資が必要になる。
アマゾンはロボット活用に壮大な構想をもっており、いずれはより広汎で高度な業務をロボットに担わせる計画を持っている。
おそらくアマゾンはロボットが入荷した商品の選別と配置、注文をうけてからの集荷、配送まで全ての業務を全て一貫して行うようにすることを考えていると思われる。
ドイツ銀行のアナリストは、アマゾンが米国での荷物の運搬を自動運転トラックに切り替えることを推奨している。その理由は、現在、米国の西海岸から東海岸までトラックで積荷を満載して輸送した場合、4,500ドルの運賃がかかるが、自動運転に切り替えれば輸送費の80%を節約できるからだ。
まだ当面、アマゾンの雇用が大幅に減る兆しはないが、ロボットや人工知能の導入により、業務内容によって作業が人からロボットに切り替わることは避けられないだろう。そのため、現在存在している職業はなくなり、そこで働いていた人々は新たに生まれてくる職業への適応を迫られるだろう。
情報源:RetailWire
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