ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン(以下VW)は、インドでの市場拡大を進めるため、技術、コンポーネント、プラットフォームに関する協力関係を結ぶことに合意し、タタ・モーターズとの覚書(MOU)に調印した。
VWは、中国では最大の自動車メーカーであるが、ディーゼル排出量のスキャンダルから回復するために、新しい市場を探している。
以前はスズキ・モーター社との提携により、新興市場で拡大しようとしていたが、激しい紛争の後、2015年にその協定は崩壊した。
新興市場シでェアを獲得することは、世界の自動車メーカーにとって明確な目標だが、低予算車のチャンピオンのルノーを除いて、大幅に収益を上げることは成功していない。
ジュニア・エッセン大学の自動車研究センターのフェルディナンド・デュデンヘッフェー(Ferdinand Dudenhoeffer)氏は、「主要自動車メーカーの長期的な成長計画には、エントリーレベルのセグメントをカバーすることが重要で、低予算車が売れれば、それが呼び水になって他の上級レベルにも波及する」と述べている。
VWの低コスト市場進出を急ぐ裏には、排ガス不正スキャンダル、「ディーゼルゲート」が大きく影響している。同社は経営の立て直しのため、MQBマスマーケットプラットフォーム(ドイツのフォルクスワーゲングループが開発した、プラットフォームを基幹としたFFとFFベースの4WD車用のエンジニアリングアーキテクチャ)を削減しているそうだ。
VWの低予算車は2019年から2020年に導入され、1台8,000ユーロから1万ユーロ(8,500ドルから10,500ドル)にする計画だが、同社は、過去6年間6,000〜8,000ユーロの低予算車の製造コスト目標を打ち破ることに繰り返し失敗している。
VWは中国でのマーケットリーダーとしての地位を守るために、低予算車プロジェクトを成功することが不可欠と見なしており、来月の上海自動車ショーで情報公開する可能性がある。
VWはまた、中南米向けの低予算車に取り組んでおり、MQBアーキテクチャモデルの大幅なコスト削減を可能にする方法で販売価格を見直ししている。
今回の提携相手となるタタモーターす社は、英国の高級カーメーカーJaguar Land Roverのオーナーであるが、同ブランドのビジネスを再構築し、プラットフォームを6つから2つに減らすことで生産効率を上げ、市場動向に迅速に対応している。
車の普及率が非常に低いインドは、世界で2番目に人口の多い国であり、市場拡大を目指す西欧の自動車メーカーにとって大きな魅力だ。
VWの広報担当者は、インドのカスタマイズされたソリューションを使って製品ブランドを拡大し、自動車ブランドと潜在的なパートナーの両方と話をしていると語った。
英国の調査会社、IHS Markit社によると、インドでの軽自動車の販売台数は、昨年の340万台から2025年には710万台に倍増すると予想されている。
情報源:VW社プレスリリース及びタタモータース社プレスリリース
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