大規模な人の移住や集中化のために都市人口が増加している。 実際、国連の報告によると、都市部に住む世界人口の割合は2014年の54%から2050年には66%に増加すると予想されている。
このため、政府や地方自治体等の公的機関は、大都市の都市計画において人々の増加がどのような影響を及ぼすか心配している。 Internet of Things(モノのインターネット)は、自転車や歩行者の交通量や最も混雑する通りの時間帯の検出を可能にする。
TU Delft(デルフト工科大学)の測量&地質学のエンジニアであるDimitris Kyritsis氏は、ドルトレヒト市(オランダ)のために研究計画を立てることで、修士論文を取得した。 同氏は歩行者、自転車、車両をモニタリングするために、Libelium(リベリウム)社製の8つのIoTゲートウェイをいくつかの交差点に配置した。
この調査は、オランダの都市で都市計画を強化する手段として、道路の交通流分析(モダリティと占有パターン)を検出するために、2016年9月中旬から2016年10月中旬までの1ヶ月の期間にわたって実施された。
ドルトレヒト中心部におけるリアルタイムモニタリング
実証実験に際しては、ドルトレヒト市内中心部と中央鉄道駅の間に位置し、街の商店やオフィスの大部分が集中するダウンタウンにスキャナーを設置した。
ドルトレヒトのダウンタウンは、ロッテルダムのような近隣都市との交通網の要である中央駅の隣に位置する。 同市は主に住宅地であるため、市民が仕事に出かける時間帯と帰宅時に交通量流入パターンに大きな変化がある。
スキャナーは、WiFi信号を読み取り、スマートフォン、ハンズフリー、車のMACアドレスを検出する。 IoTゲートウェイは、外部デジタルデバイス(デジタルクロック)の使用によって同期されている。 オーバーローディングを避けるために、データはWi-Fi接続を介して各センサーのローカルデータベースに接続し、定期的にダウンロードした。
ドルトレヒト市の職員は今回の実証実験の結果について、マーケティングに使えるのみならず、都市開発計画の事前・事後調査ツール、交通監視システム、群衆整理、施設の使用方法やマーケティングなど、さまざまな目的に使用できるシステムの能力と情報に大変満足した。
データ収集に際しては、Postgres(オープンソースのオブジェクト関係データベース管理システムポスグレ)がデータストレージの基本ツールとして使用された。 その後、SQLクエリとPythonスクリプトを解析部分に使用し、QGIS(地理情報システムの閲覧、編集、分析機能を有するクロスプラットフォーム)のフローマップと密度マップを使用して結果を視覚化した。
スマートシティのカギとなる都市計画
ドルトレヒトは、「スマートシティ」のアイデアに大きな関心と熱意を持っている都市です。地域の発展のため、地方自治体は、土地利用の変更、公共サービス高水準化を高め、都市を再建することを望んでいる。
実証実験のシステムによって収集されたデータとセンサー間の距離を用いて、各装置の移動速度が計算されている。 この計算された速度は、研究領域の街路利用基準と組み合わされる。 道路ユーザーは歩行者、自転車、または自動車として3つのカテゴリーに分類される。 この分類では、各道路のモダリティ(交通流量)が調査され、1日を通しての各ユーザーの優先使用街路と各カテゴリー間の関係も認識される。
道路のユーザーである歩行者、自転車と車両の動き行動が研究され、それらの間の類似性および最も頻繁なパターンが識別された。 ラッシュ時間、交通量の少ない時間やユーザーの傾向は、研究対象地域とその周辺との間の交通流入関係だけでなく、週別の曜日別での変化も認識されている。
この実証実験前には、ドルトレヒトの道路のモダリティと占有パターンに関する予備的な情報はありませんでした。 この研究の成果により、公共機関がIoTゲートウェイの情報とデータ分析に基づいて地域の都市計画に取り組む上で非常に有用であることが証明された。また今回使用したシステムは再適用が可能であり、 その地域の都市計画の事前・事後計画ツールとして有効である。