ベトナムは世界の世界第4位(2015年)の水産物漁獲生産量を誇る水産物輸出大国の1つです。 また水産物養殖でも世界第4位(2015年)です。その年間漁獲量は約5,699,250トンで、輸出額は1,700億ドルと推定されている。
ベトナムの主な輸出先はヨーロッパ、アメリカ、メキシコ、中国です。 主要販売先の欧州連合(EU)は、卸売業者に対し、魚の品質と養殖条件に関する厳しい管理措置を確立するよう警告している。
ベトナムの主要IoT&ICTディストリビュータの1つであるPHA Distributionは、メコン川沿いのDong Thap Province(ドンタップ省)のThanh Bình(タンビン県)にあるベトナムの養殖場に水質調査用のセンサーネットワークを導入した。
このプロジェクトの目的は、水質を管理し、養殖魚の生産の質と量を向上させ、魚に影響を与える可能性のある病気を防ぐために、リアルタイムでさまざまなパラメータを監視することだ。
生産を改善するためのリアルタイムモニタリング
Pha Distribution社の常務取締役のTran Vinh Phongによると、リアルタイムモニタリングは、養殖魚の病気を未然に防ぎ、病気治療の費用を節約し、収穫前の魚の健康に保ち、魚の損失を最小限に抑えるのに役立つ。
同社はLibelium社のWaspmote Plug&Senseをセンサプラットフォームとして採用している。
センサープラットフォームは、給水源と養魚場の内部に配備されており、水および魚の品質は、以下のパラメータによって制御される:
・温度
・導電率
・溶存酸素(DO)
・酸化還元電位(ORP)
・水素イオン濃度指数(pH)
養殖池に設置されたノードに電力を供給することは難しいため、PHA Distributionエンジニアリングチームは、各ノードにソーラーパネルとバッテリーを設置し、エネルギーを継続的に供給することを決めた。
水質調査用センサーの設置
プロジェクトの第2段階では、水質調査用センサーをインストールし、アンモニアイオン(NH4)、硝酸イオン(NO3)および亜硝酸イオン(NO2)をモニターした。
センサープラットフォームは、3G / GPRSおよびZigbeeの通信規格は「IEEE 802.15.4」を介してゲートウェイと通信する。 ゲートウェイによって収集された情報は、3G、802.15.4、およびWiFi経由でクラウドに送信される。 データを視覚化するために使用されるプラットフォームはPha Distribution独自のクラウドベースのアプリケーション(PioT-SW)を使用する。 これは、異なるパラメータのレベルをリアルタイムでモニタリングし水質の変化を可視化する。
漁獲量の低下は収入の損失
5,000平方メートルと4メートルの深さの養殖場では、2,000キロの稚魚が飼育されている。 6ヶ月後には、1キロあたり1.50米ドルの価格で、約30,000キロの成魚を収穫できる。 机上計算では、水質が管理されている場合に、飼育している魚の約40%を疾病から守ることができる。
養殖場でのリアルタイムのモニタリングは、通常の病気によって失われる個体数を40%から50%削減できる。 この効果は30,000キロの漁獲高を38,000から40,000キロにできると想定され、 通常の養殖場とリアルタイムモニタリングをしている養殖場の売上高の差は、6ヶ月ごとに少なくとも12,000米ドルになる。
Pha Distribution社によると、今回の実験は魚の養殖のだけでなく、ベトナムの主要輸出品目であるエビの養殖にも応用可能で、溶存酸素(DO)、水素イオン濃度指数(pH)や酸化還元電位(ORP)等のパラメータ監視することでエビ養殖にも高い効果をあげる可能性がある。
水質モニタリングは、魚の品質と飼育状況の保証を求める国際的な規制を満たすためにも不可欠だ。 水質管理の最新設備を導入した養殖場施設は、伝統的な方法で養殖をしている他の企業よりもはるかに優れていることを実証できるだろう。