シンガポールの電話会社、シンガポールテレコム(Singtel)が今年の9月末までに、シンガポール全土にIoT携帯ネットワーク網を開設すると発表した。
新しい回線網は低電力で広範囲をカバーするIoTデバイスをサポートするもので、事業運営の効率化とコスト低減を達成させるためのものだ。
シングテルのネットワークはCAT-M1やNB-IoT技術を使うことで、低コスト、省電力、通信範囲の拡大と大規模な接続数にメリットがある。
無線IoTネットワーク網はサポートデバイスの内臓電池の寿命を10年以上にし、低中周波数を使ったビジネスに活用されるだろう。
CAT-M1ネットワークはセンサーネッワークトラッキングなど、通信技術規格VoLTE(ボイス・オーバー・ロングターム・エボリューション)*を使い、ウェアラブルデバイスやトラッカー等の音声通信を必要とするビジネスを可能にする。
LTE網は高速なパケット交換が可能だが、音声通話のための回線交換を想定していない。一方、VoLTEは音声およびビデオ通信をデータ(パケット)として取り扱い、LTE網で音声通話およびビデオ通信を実現できる。またインターネットを経由するVoIPと違い、QoS保証(通信品質の保証)による優先制御で遅延を抑えている。また、広帯域な音声コーデックを使うことで、第3世代移動通信システム以上の通話品質が提供できる。
世界で6億の携帯ユーザーと23,000人の従業員を有するシンガポールテレコムは、今回の事業展開にあわせて、同社のビジネスパートナーや技術パートナーを招きシングテル社IoTイノベーションラボでのIoTソリューション開発を進める予定だ。
シンガポールテレコムは大手通信機器メーカー、エリクソン社と共同で、新しいIoTアプリケーションと新しいビジネス戦略を産業界にもたらすことをもくろんでいる。
2017年7月、エリクソン社は台湾の中華電信(Chunghwa Telecom)のためにIoT(NB-IoT)システムを設置するプロジェクトを受注した。
中華電信はエリクソン社と協同で、同社の研究所内で幅広いIoTデバイスとアプリケーションの実験を行い、将来的には様々な産業用として5Gアプリケーションを開発する計画だ。
情報源:シンガポールテレコム社プレスリリース